2022年4月、弊社アドベンチャーは事業展開のスピードを上げていくために大規模な組織変更を行いました。これまで以上に激しく外部環境が変わっていく中、アドベンチャーはどういう方向性で進んでいくのか。人事の川島から社長に会社の目指す方向性をインタビューをしました。
2006年創業
代表取締役社長
2006年創業
2022年4月、弊社アドベンチャーは事業展開のスピードを上げていくために大規模な組織変更を行いました。これまで以上に激しく外部環境が変わっていく中、アドベンチャーはどういう方向性で進んでいくのか。人事の川島から社長に会社の目指す方向性をインタビューをしました。
CHAPTER 1:PAST
中村:(撮影機材を見て)え、こんなガチな感じなの?(笑)
川島:外部インタビューではないですけど、写真とかは必要なので。(笑) 今日はよろしくお願いします。
中村:よろしくお願いします。
川島:まず最初に、社長のパーソナリティについて知りたいです。起業したいと思ったきっかけはなんだったんでしょうか?私には大学時代そういう思考がなかったので、その発想が生まれ、持ち続けられるのはなぜなのかを知りたいです。
中村:そこでいうと、まず自分のお金が欲しいとか、資産を増やしたいとか、そういう気持ちは全くなくて。日本経済が成長してきた理由としては、トヨタとかソニーとかの経営陣が戦後の日本でビジョンを決めて、そこに向けて国民をリードしてグローバル化していったからだと思っており、それを誰かがやらないと日本が衰退すると思って。恵まれた環境にいる人たちなわけだから、それをやらないっていうのは、俺にとっては怠慢に感じてしまうというか。そういう使命感があって。
川島:その使命感を感じるようになったのはいつからなんですか?北海道出身でしたよね…
中村:北海道バカにしないでくださいよw
川島:違うんです違うんです!(一同笑い)私東京にいると…
中村:あーーすごい、マウントしてきた!
川島:違います違います!私も田舎出身だから、その…
中村:はいはい。東京から見ると、北海道の田舎の人が何言ってるんだと。
川島:違いますってば!(笑)そうじゃなくて、そう思ったきっかけ?を知りたいんです。テレビとか…?
中村:うーん、まあ小学生くらいは人を助けたいから医者になりたいかな、と思ったこともあったんだけど、より多くの人のためにいいことがしたいって思って。そうするには起業が一番なのかなっていう結論に至ったという。テレビを見たとか本を読んだとかそういうわけではなくて、一人で考えて。
川島:一人で、ですか。
中村:はい。一度きりの人生の中で、自分が何をやりたいかを考えた時に、社会に貢献し、新しい価値を生み出して世の中が豊かになることに繋がるといいな、と。その結果、利益と経済的な成功に繋がり、納税すればGDPも上がりさらに国が豊かになり、その連続かなと。それを実現する一番の近道が起業だった。
川島:すごいところからの逆算ですね。
中村:なので最初は大学にはいかないで起業しようと思ってたし。で、まあ、18歳の時に、起業するために学校別の学部を見て、経営者が一番多い大学と学部を調べてそこに入って。入ってからはたくさん経営者に会ってた。多分今より大学時代の方が経営者に会ってたくらい。
川島:今より!?行動力と量が…。
中村:まあ今は経営者より投資家に会う方が増えたしね。そうしていろんな人の話を聞きながら1年くらい自分はどういうビジョンで何をやりたいかを考えていた時に、インターネット上でやることで相手が世界になり対象が広がるので、インターネット上のビジネスがしたいとなった。
CHAPTER 2:PRESENT
中村:当時フィリピンとかタイにバックパックもしたんですけど、そこで貧困を目の当たりにして、こんなに自分は恵まれた環境で教育を受けてきて、それで何もやらないっていうのはおかしいんじゃないかって思い、自分がやらなければという使命感が加速しましたね。
川島:具体的に今でも覚えているエピソードはありますか?
中村:最初はもう本当に、どこだっけ。カンボジアとかミャンマーとかでストリートチルドレンがたくさんいて、「古本読んで独学で日本語を勉強した、もっと勉強したいから本をくれ」と言われたりとか。何もない島から頑張ってる人たちがたくさんいて。こんなに頑張ってる人達がたくさんいるんだから、自分なんかもっと頑張んなきゃダメだろう、機会があるのにやらないのはダメだろうというか。
中村:特にまだ自分の時代はみんな大企業に勤めてっていう風潮があったんですが、イノベーションはベンチャー企業からしか生まれないと思い起業しました。なので、そういう発展途上国でビジネスをやりたいっていう思いがあります。
川島:最近よく、途上国で(ビジネスを)やりたいとお話ししてるのにはそういう背景があったんですね。その中でも、なぜskyticketを始めたんですか?
中村:そもそもたくさんの国に足を運ぶ中で、飛行機代が5000円とかすごく安くて。当時は東南アジアでLCC就航というイノベーションが起きてたんですが、移動が安価になったことにより、東南アジア現地の観光業も活発になり豊かになったのを知ったんです。それをなぜ日本はできないんだろうと思っていたところ、当時日本が国としてもインバウンドニーズを増やして観光立国にしたい、そのためにLCCを増やしたいと話を聞いたので、その一役が担えればいいなと思ってskyticketを始めました。
川島:そうだったんですね。
中村:はい。当時大手旅行会社はLCCを取扱しなかった一方、skyticketはインターネット上でユーザーにLCCという選択肢を提供した結果少しずつユーザーが増えていって、それはよかったのかなと。
中村:skyticketがどう社会貢献につながっているのかわからない、と言う人もいるらしいけど自分の中では全部繋がっていて。日本の人口が減少傾向の中、この国が成長を続けるには観光立国になる必要があり、そこにしっかり貢献していると思ってますし、今自分がやっているIT旅行ビジネスの知見を発展途上国に持っていくことで現地の人の雇用機会を生み出しながら課題解決することもできます。
川島:確かに…。
中村:海外オプショナルツアーを販売すれば現地の人たちの産業を活性化できる。例えばインドでは時間通りにバスも電車も来ない、それによって人の生活水準は下がってしまっているわけで。それを例えば今skyticketでやっているバス予約ビジネスの知見を持っていくことで、人々の生活水準の向上に貢献できたりとか。
川島:IRでも書いてありましたが、、まずはそれをアジア圏で展開という感じでしょうか?
中村:そうです。自分がグローバル展開の中でもまずアジア圏にskyticketを広げたいと言っているのはこうしたアジアへの貢献という背景もあり、ビジネス的に短期的に見れば欧米圏に今伸ばすべきかもしれないですが、今後アジアが伸びていくという中長期ビジョンの中では、ビジネス的にもアジア圏を今やるべきだと思っています。
川島:旅行は雇用を生み出す側面もありますが、旅行するだけでも人の成長機会の提供に繋がりますよね。私もイギリスに短期留学した時にさまざまなバックグラウンドのある学生との交流を通して、自分にない考え方や物の見方を学ぶことができました。
中村:はい。まあ要は日本の観光立国化に貢献しつつも、世界中で頑張りたいけどチャンスがない人に機会を提供するビジネスをしたい、と思ってるんです。そういう意味ではまだ道半ばでこれから階段を上り始めるギリギリのところだと思っています。
CHAPTER 3:FUTURE
中村:よく「上場されて、規模も大きくなって、よかったですね」と勘違いされるんですけど、何がですか、まだ始まってもないんですけど、と思っています。昔は個人で社会貢献活動をいっぱいやっていたけれども、それよりも今はこの企業を大きくして、社会公益性が高いビジネスを継続的に生み出した方ができることは増えるんじゃないかと思っています。
中村:10年スパンの大きな枠組みで自分の考えを言うと、この10年くらいはビジネスの基盤を作ってきましたが、次の10年はグローバル化、その次の10年は社会貢献に自分は携わると、もう決めているんです。今僕はグローバルOTAを目指すと言っていますが、そもそもまず海外の会社に勝ってグローバルOTA程度うまくいかないと、グローバルに社会貢献なんかできないでしょ?と思っているんです。
川島:グローバルOTA程度、というのは本当に途方もない目標ですね。ちなみに社長の中では達成感というか、満足するという感覚はあるんですか?これできたからよかった、っていう。
中村:できてよかったな、かぁ…。そういう意味では、何もできてないからな、っていう。自分の中ではまだ1/100もできてないですし、何でこんなに時間かかるんだろう、もっと早くやりたいのに、って起業した時からずっと思ってる。でもそれは経営者にも責任があるし、自分の経営能力が低かったということなので、どうしてうまくいかなかったんだろう、できるために何をすべきかを試行錯誤しながらやっていくって感じなので…達成感なんて、いつ感じるんだろうね。
川島:いつ感じるのでしょう…。でもお話を聞いていて、現状に満足しないからこそより上を目指していけるのだと。
中村:そうなんだろうね。理想を言えば、自分が生きている間もそうだし、自分が死んでからも永続的に社会貢献できる仕組みが生み出せたらいいなと思っていて。もちろんその中で、これはできてよかったみたいなのはあるけど。多言語のお客さんが増えたらやりたかったことに近づいたとは思うけど、もっと増やすにはどうすればいいかって思うし。SDGsって言葉があるように、どれだけ持続的にできるかが大事なので。
川島:最後の質問になるのですが、今後はこういう方向性でもっとやりたい、みたいなのはありますか?
中村:やっぱり社会公益性の高いビジネスを持続的に生み出す企業でありたいと思う。両利きの経営といつも言っているのもそうですが、イノベーションを起こして今までにないようなビジネスを作っていきたいと思っている中でも、もう少し社会問題の解決というところにフォーカスを当てたいかな、と。例えば日本で言うと空き家問題、地域の過疎化など。というよりそもそも儲かる、儲からないとかが先に来るのは間違っていると思っていて、どちらかというとそれが世の中に必要とされるならば、利益は後からついてくるはず。うまくいかないならそれは社会にとってあまり必要がなかったんだ、と。
川島:なるほど。
中村:Airbnbは空き家問題の解決をしたりUberはニューヨークのタクシーいない問題を解決したり、そういう社会公益性が高い事業だからこそあれだけ短期間で伸びた。なので社会問題とは何かを定義するミーティングを設定して、こういうサービスがあったら便利だと仮説を立て、結果うまくいけばその仮説が正しかったと判断することが本当はとても大事だと思っている。最近社内でやった新規事業企画提案会でのフィードバックでも社会的に必要かどうかをもう少し考えて欲しい、と伝えたのはそれが理由。だから「これをやったら利益が出る」とかではなく「人のためになりたい」「社会に対して役に立ちたい」というビジョンを持っている人たちと一緒に働きたいと思っています。
川島:私も最近人事の仕事を通して、「人の学びや成長に関わりたい」という思いが強くなってきました。直接事業に関わっているわけではないですけど、社内報での発信、タレントマネジメントツールの導入などでもっと貢献していけるんじゃないかと思っています。
中村:また、今の常識は未来の常識じゃないと思っているから、会社としてはダイバーシティに取り組んでいきたいと思っている。例えば海外の常識は日本の常識でなかったりするわけだから、外国人の採用とかも積極的にしてきたと思っているし。宗教、人種、性別、そういったものに囚われないような会社にしていきたいと思っている…でもこういうのって、ただ言葉で伝えても伝わらないんだよな。
川島:そうなんですよね。すごく難しい…。
中村:だから例えば、新卒採用とかでは途上国でインターンさせるとか、そういうのをやりたいんだよね。そこで感じたこと、学んだことを原体験に、やっていること、働く意義を実感してもらうというか。
川島:それはぜひやりたいですね!
川島:アドベンチャーが今、そして今後どう社会貢献していくのかなどがわかり、大変勉強になりました。本日は貴重なお時間いただきありがとうございました!